エピソード#7 ビウラの偽物?
エピソード#05では、ビウラの説明書に偽物への注意書きがあったことをご紹介しました。その「偽物」かもしれないものが、蔵から見つかりました。名前は「ビュラー(BEAURA)」。ビウラ(BEAULA)とは、LとRが1文字違うだけです。
よく似た名前の、別の製品

「Beaura NEW IMPROVED」の紙箱。側面には「BEAURA CO., INC.」とあります。
緑色の紙箱には、赤い筆記体で「Beaura」、その横に「NEW IMPROVED(新しく改良された)」の文字。目のイラストが添えられた、シンプルな箱です。
ぱっと見ると、「IMPROVED」が「IMPORTED(輸入品)」のようにも見えます。英語ばかりのパッケージと相まって、舶来品のような印象を与えるつくりです。

説明書には「新型 ビュラー」「新しく改良しました有名なビュラーカール器」とあり、英語で「DISTRIBUTED BY BEAURA CO., INC TOKYO CITY」と書かれています。「有名な」とうたっているあたりにも、すでに知られていたビウラの名前にあやかろうとした気配が感じられます。
並べてみると

2つを並べると、つくりの違いは一目瞭然です。ビウラは、指を入れる輪から先端まで厚みのある金属でしっかりと作られています。一方のビュラーは、細い針金を曲げた持ち手にピンクの塗装をほどこした、軽いつくりです。
これまでご紹介してきたように、ビウラは説明書やパッケージ、広告の一枚一枚にまでこだわって作られていました(エピソード#04〜#06)。それにくらべると、ビュラーからは、そうした品質へのこだわりや作り手の思い入れは、あまり感じられません。
ビュラーの箱には、製品の特長を説明した小さな紙が入っていました。そこには「本ビュラー・カール器はハンダ付の類似品と異り」と書かれています。部品をハンダで付けたほかの製品とは違い、金属をかしめて留めた丈夫なつくりだ、という説明です。「類似品」とよく似た名前の製品が、自分は類似品とは違うとうたっている。思わずくすりとしてしまう一文です。
値札には百貨店の印
ビュラーには、値札が付いたまま残っていました。そこには百貨店・三越のものとみられる赤い丸印が押されています。
なぜ啓芳堂の蔵に、よく似た他社の製品が、百貨店の値札付きで残っていたのでしょうか。もしかすると創業者が、売り場に並んでいると聞いて、確かめるために自ら買いに行ったのかもしれません。真相はわかりませんが、自社の製品と名前を守ろうとした創業者の姿が浮かんでくるようです。
真似されるほどの存在
本物かどうかがわかりにくい製品が出回るのは、それだけ元の製品が知られ、求められていた証でもあります。エピソード#03で、創業者が「ミクロゲン」と「美黒源」の名前を商標として登録したことをご紹介しました。名前を守ることの大切さを、創業者はこうした経験からも感じていたのかもしれません。
※ビウラの販売及び商標はビューラー社の岡本求馬氏が引き継ぎ現在”ビューラー”の登録商標は岡本和久氏が保有しています。




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